Realに生きる

食と自我・精神・霊性 

自分を信じること②親のアイデンティティー

前回は、生理的欲求を満たすために、親にたいしていろいろ働きかける赤ちゃんを考えました。今回は求められる側の心を考えてみます。

自分もお母さんを体験して、お腹にいる間からすこしずつお腹にいる赤ちゃんに対しての愛情が育っていく感覚を持ちました。ただ、その感覚を持つには周囲の人の支えや協力があり気持ちに余裕がないと、妊娠中の母親の不安が大きくなり、赤ちゃんへの思いより自分に対する心配が多くなると思います。周囲の環境は本当に重要です。

 

生まれてきた赤ちゃんに対して、責任を感じると同時に所有感もあったと思います。おっぱいをあげた瞬間に、「わたしはこの子のご飯だ」と赤ちゃんにとって自分は必要な存在であると感じました。

自分は、これまで他者に心底求められるという体験はなく(恋愛は駆け引きで純粋ではないと思う)赤ちゃんが、ほんとに自分を求めているという実感があり、私の自尊心は本当に満たされました。赤ちゃんと一体になる感覚を持ち、常に赤ちゃんのことを考えていました。そして、求められている自分がとても幸せと思っていました。自分にしかできない役割という「自尊心」です。

「ボウルビィーの愛着理論」で表現されているように、体も心も一体となり、母親は赤ちゃんに没頭する。ユングでは母性は飲み込む力のような表現でありましたが、そういう感じで、自分の意識の中で赤ちゃんを包み込んでいる感覚を覚えています。

赤ちゃんが本能的欲求を満たし、母親は自己実現を満たす、マズローのいう欲求はお互いに満たされることで成り立つのだと思います。この三角形の中の欲求は、成長の段階で起きるのではなく、何回も繰り返して起きていると感じています。

 

こ育てに没頭し、赤ちゃんも親も満たされる、これがそれぞれの自信につながっていきますが、これらには周囲の援助がないと無理なんです。生きていくにはしなければいけないことが山ほどありますが、それを代わりにしてくれる他者の力が必要です。